– KMJの検品・調整 –
●各4弦の間隔は、均等か。
●駒は、正しい位置にあるか。
●駒足が、きちんと楽器に対してフィットしているか。
●駒にも、4弦が均等に配分されているか。
●駒の高さと削りの角度は適切か。
●糸巻き(ぺグ)が、スムーズに動くか。
●アジャスターは、正常か。
●楽器全体を入念にチェックし、にかわの剥がれやヒビ、キズの有無を調べます。
●上、下、サイドから、直線に楽器を見て、楽器自体の歪みがないかを調べます。
●目に見えないにかわの剥がれを見つけるため、継部分を軽くノックしながら、反応音でさらに確認します。
●指板の歪みやソリ、凹凸などの有無も確認。
●手にあたるネックに、接着剤やニスなどの不快な部分がないか、全体に触ってみます。
●上記が済んだら、いよいよサウンドチェック。サイズに合った弓で、駒の近くから、指板の近辺までまずは開放弦で鳴らしてみます。
フラジオレットの鳴りも確認。
●次は音階。Gオープンから、各弦でハイポジションまで、登ってみて出にくい音域や音、裏返り、ウルフがないか確認。
スタカートでの反応性も試してみます。
●その後、分数楽器の場合は、そのサイズの子供達が弾きそうなレベルの曲を、弾いてみてどんな反応をするかチェック。
●フルサイズの場合も、初級楽器なら初級の曲を弾いてみます。上級楽器に関しては、コンチェルトなどの早い楽章の各音域のパッセージ、
遅い楽章のパッセージ、古典・ロマン派・・と違った時代の曲での比較もして、いろいろ弾いて反応をみます。
●弓を張ってみて、ボタン部分(ネジ)がきちんと固すぎず、ゆるすぎず、適切に作動するか。
●張った状態で、親指を置く部分が、広すぎず、狭すぎない位置にフロッグがくるか。
●革部分の厚み、親指の置き具合は快適か。
●トップと、ボトムから直線にみて、歪みやソリがないか。
●毛は均等に張られているか。
●チップのカケや汚れ、貝や弓本体のキズの有無。
●本体部分に、木の節目があるかどうか。(将来的な歪みになりうる)
●本体部分に熱処理が加えられているかどうか。
●腰の強さ。
●毛の汚れの有無。
●松やにのなじみ具合。
●上記が済んだら、試奏。始めにたっぷり馴染ませた松やにを、多少おとしてから、各弦を、全弓・中弓・先弓とアプローチしてみます。
バランスがどの辺にあるか、スピカートの掴み具合も、遅い→速いまで、じょじょに試してみます。
●ピアニッシモから、フォルッティッシモまで、各ボリュームの反応をみます。
●オケもの、室内楽もので、特殊な弓技術を要するパッセージを、いろいろ弾いてみて反応をみます。
こんな過程を経て、KMJの楽器たちは出品され、インターネット上で皆様と出会います。気に入って下さった方へ、いよいよお届けする日がくると、再度ぴかぴかに磨きます。
最終チェックを済ませ、最終試奏。調弦までして、梱包にかかります。
KMJの管理人は物心ついたからバイオリンを弾き、自分の一部分として共に育ってきたせいか、楽器は『モノ』とか『商品』とは思っていません。どんな安い楽器も、訳ありの物も、いつも我が子を、初めて遠足に出すような気持ちです。
そんな管理人の想いを分け合って、KMJのスタッフ達は楽器を梱包する時には、「お弁当はもった?リュックにおやつ入れた?酔い止めの薬は持ったのね?」とお母さんが気にしてくれるように、「可愛がってもらうのよ、良い子にしてね、 元気でね、いってらっしゃい」と、願いを込めてケースを閉じて送り出すのです。
楽器が旅立った後も、ずっとあの子は元気にしているだろうか、可愛がってもらえてるだろうか、良い音を出している だろうか・・と、なつかしく思っています。
それだけに、持ち主さんから「とっても仲良くしてますよ!」と お知らせがくると、喜びもひとしおです♪