プロ奏者様による3種コントラバス用 カーボン弓 「Presto Audition」「Bellarco」「Petz Vienna」比較&感想

Last Updated on 11月 10, 2022 by trinity

●「Presto Audition弓」
良く歌う音楽的な弓です。コンサート/室内楽向き? 音色は柔らかく暖かみと太さがあります。 なかなか良い音だと
思いました。 3本の中ではスティックの腰が少し軟らかい印象。 「Petz Vienna」に比べると多少重い感じ。
バランスもヴィエナよりは弓先寄りです。 フロッグが少し大きめですが、手の大きい人には全く問題ないでしょう。
コストパフォーマンスは断然トップ、特に刻印無しのモデルはリーズナブルだと思い ます。

●「Bellarco弓」
高性能且つデザイン的にも洗練された弓です。コンクール/コンチェルト向き? 第一印象、デザイン的には
一番素敵でした。やはりカーボン弓は市松模様がカッコいい。 スライドのアヴァロンも3本の中で
一番美しいものを使っていますし、イリス紋章も 美しい。 フロッグはスリムで手の中にすっきりと落ち着きます。
ヴィエナに比べると多少重い感じで、バランスもヴィエナよりは弓先寄りなので非力 な人にはヴィエナの方が
良いかもしれません。 しかし、発音が飛び抜けてました。とても明確です。音色は明瞭、輪郭がはっきりしていて
音量があります。弓(特に弓先)の喰い付きも一番良い。 ということで、私の評価ではベラルコがNo.1、
これを購入することに決めました。

●「Petz Vienna弓」
軽くてバランスが最高の弓です。 軽さと右手に持ったバランスでは3本の中で一番良かったです。
フロッグはスリムで手の中にすっきりと落ち着きます。 最初持った時(楽器を鳴らしてみる前)は3本の中では
これかな?と思いました。 音色はスティックの材質の違いのためかこれだけが他の2本とは別傾向でした。
音色は暗めで倍音は少なめ、基音がよりはっきり出る感じです。 派手な音ではないですね。 弓の食いつきは
3本の中ではごく僅かに甘い方だと感じました。 但し、同じメーカー、同じグレードでも個体差はあるでしょうから、
あくまで今回試 奏した1本についての感想です。 この弓の軽さとバランスはとても魅力的なので機会が
ありましたら別の個体を是非奏 いてみたいと思います。 デザイン的にはカーボングラファイトの市松模様が無いので
地味な印象、銀巻線も ちょっと野暮ったい感じがしました。

●その他 総評 郵送試奏について・・。
同程度の価格帯のカーボン弓にそれほど大きな違いは無いだろうと思っていました が、やはり実際に手に取って、
弾いてみないと解らない差異が沢山有るものですね。 しかし、3万円台の弓がこれほど反応性、操作性、
デザイン性を備えているとは 手/目にするまで予想していませんでした。初心者から専門家の実践的サブの弓としてまで
十分且つ快適に使える弓です。 木製弓では絶対に不可能な価格設定ではないでしょうか。この価格帯ならカーボンが
独走体制になるのではないかと思います。 この価格帯では木製弓の数倍コストパフォーマンスは高いと思われますが、
カーボンの場合、 耐久性や均質性(あたりハズレの少なさ)もメリットだと思います。 私のメインボウである
フレッチナーは羽根の様に軽く扱いやすいですが、 デリケートで神経を使う面もあります。 その点Bellarcoは
多少の重さとバランスの違いは 感じますが大胆な奏法も雨天時等の持ち運びも 気持ちが楽でありながらそれなりの
パフォーマンスを保証/実現してくれるので 強い味方になっています。 郵送試奏制度のおかげで自分の
感覚・好みに最も適合した弓(Bellarco)を見つけることができました。もし3本の比較ができる試奏制度が
無ければヴィエナを注文していたと思います。 試奏させて頂いだ貴店の弓の毛の張り方と質・量にはとても好感が
持てました。 (廉価なクラスの弓の場合、「質の悪い毛を多過ぎる量で不器用に」張っている例を よく見かけます。)

(N.S.先生)